【2025年最新版】海外の自動運転技術の最新動向について詳しく解説!

自動運転市場では日進月歩の成長を見せており、日々アップデートがあります。最近ではトヨタとWaymoの協業が大きな話題となりました。
このコラムでは、2025年5月までの技術やそれに伴う各国の規制の変化、市場の最新動向をまとめ、世界の自動運転技術のリアルな姿を詳細に解説いたします!
目次
2025年最新の世界自動運転はどうなっているか?
現在、ロボタクシーは都市の風景を変えつつあり、自家用車向けの高度運転支援システム(ADAS)はますます洗練され、物流の世界では自動運転トラックが走り始めています。
これと並行して、米国や中国を筆頭に、各国政府は法整備、そして規制緩和を進めており、日本も米中に続くような形で議論が進んでいます。
完全な自動運転(レベル4、5)での運用はまだまだですが、業界全体としては、ターゲットを絞った商業化と、そのための土台作りのフェーズへと移行しているような状況です。
トヨタとGoogle傘下ウェイモの戦略提携
トヨタ自動車とアメリカで自動運転車の運行を行うGoogle傘下のウェイモWaymoが2025年4月に自動運転技術の開発と普及に向けた戦略的パートナーシップ締結の事前契約で合意したことが発表され大きな話題となりました。
また、Waymo社は2024年12月東京での自動運転タクシー導入に向けて、日本交通およびGOとの協業を発表したことでも話題になりました。日本でのデータ収集を目的としており、日本交通のドライバーが運転してLiDARやカメラを搭載した車両で2025年の4月以降東京都内にて走行しています。
独VolkswagenとUberが提携 アメリカ市場にロボタクシー導入へ
独Volkswagen子会社のVolkswagen ADMTと米Uberが戦略的提携を4月に発表しました。全電気式・完全自動運転車ID.Buzz ADを米国市場に導入し、今後10年間でロボタクシーとして運行を開始する予定です。
日産と英国スタートアップ協業 自家用車に次世代運転支援技術導入へ
4月に自動運転のAIを手がけるイギリスのスタートアップ、ウェイブ・テクノロジーズが日本市場への参入、2027年発売予定の日産自動車の市販車向けに次世代運転支援技術が搭載されることが発表されました。
ウェイブはソフトバンクグループやマイクロソフト、エヌビディアが出資している企業で、これまでの自動運転技術の常識とは異なる、三次元地図を使わない技術で注目されています。
「エンボディドAI」と呼ばれるその技術は、AIが人間のドライバーと同様に道路環境、運転操作技術を学び、複雑な道路状況に対応するというものです。「現状は手放し運転のアシストができる程度だが今後全自動運転に対応する」と発表しています。
また、日産自動車は今回、新たに横浜市に自動運転技術の開発施設を開設し、国内の自動車大手企業に協業を働きかけています。
中国では複数都市で自動運転レベル4が実用化!
運転者なしで高度な自動運転が可能なレベル4での運行が中国の10都市以上で運行されています。トヨタ、日産・三菱自・ルノーの3社連合が出資するPony.ai、日産と協業をするWeRide、中国5都市にてすでに自動運転を実用化させているBaiduなど中国のロボタクシー企業が続々とアメリカの市場に上場し、中国での技術競争のみならず世界的な競争が激しくなっています。
注目すべき自動運転技術の最新動向7つ!
見たものと言葉で自動車を動かすVLAモデル
カメラからの画像や映像だけでなく、自然言語、つまり、私たちが普段普通に使っている言葉を理解し、機械を操る能力を自動運転に応用する「Vision-Language-Action (VLA)」モデルが脚光を浴びています。
CoVLA-Agentや AlphaDriveといった研究は、目に見える情報と言葉を結びつけ、より人間らしい「なぜそう判断したか」という推論に基づいた運転計画を可能にします。
これは、稀にしか発生しない予期せぬ出来事(いわゆるロングテール問題)への対応力を高める切り札になるかもしれません。この研究を支えるため、言語による状況説明と運転行動を結びつけた大規模なデータセット(CoVLAなど)も開発されています。
リアルタイムでの交通予測やシミュレーションを可能にする拡散モデル
周囲の車や人が次にどう動くか?と予測するのが自動運転では欠かせません。わたしたちも普段運転する際に無意識的に気をつけていることだと思います。
拡散モデル(Diffusion Model)は、学習用の画像生成に使われるもので、ランダムなノイズを含むデータを生成し拡散させて、その逆プロセスを再度踏むことで高品質の画像を生成します。VAEやGANと似た方法を取りますが、より高品質なデータを生成することができると言われています。
自動運転では、これにより生成したデータを学習させることにより、物体検出や軌道予測、運転計画において大きな効果が期待されています。
センサーから操作を可能にするエンドツーエンドモデル
センサーが捉えた情報から直接、ハンドル操作やアクセル・ブレーキの指示を出す「エンドツーエンド(E2E)」モデル。
従来は、ディープラーニングでは、特徴を検知して、識別して判断を出すという間に挟まる処理がありましたが、E2Eアプローチのディープラーニングでは、途中の処理段階を省略することでエラーの連鎖を防ぐ利点があります。これは、様々なタスクを統一的な枠組みで扱うことができるため、シンプルな設計になり、システム全体が最適化されるためです。
しかし、大量のデータを与えても性能向上が頭打ちになる傾向や、シミュレーション上で結果が必ずしも実世界での成功に繋がらないという課題も指摘されています。そのため、高品質なデータでの学習が求められています。
様々なセンサーを搭載するセンサーフュージョンが主流に
自動運転を行う車体にはカメラや赤外線カメラ、LiDAR(詳しくはこちら)などの複数の外部入力装置が搭載されています。最近では、それぞれの長所を活かす、マルチモーダルセンサーが主流となっています。
そして、複数のセンサから得た情報を統合し、自動で目的に応じた情報処理を行うことで使用者の意思決定を補助するセンサーフュージョンが用いられることが多くなっています。
AIインシデントの増加で求められているXAI(説明可能AI)
自動運転関連のインシデントや事故は人命が関わってくるため大きく報道されることがあります。
4月に大阪・夢洲で開幕した「大阪・関西万博」では来場者を輸送する自動運転シャトルバスが回送中にコンクリート擁壁に接触する事故が発生したことは、大々的に報道されました。幸いけが人はいなかったものの、安全上の問題があるとして、運行を行う大阪メトロは通常運転に切り替えています。
国内外で自動運転車による事故は絶えず起こっており、大抵の場合は、事故の特定に時間がかかってしまうか、原因不明で終わっているケースもあります。
そのような中で、「AIがなぜその判断をしたのか?」を知ることが原因究明に近道となります。
それを人間が理解できるようにするのが「説明可能AI(XAI)」です。
これは、システムの安全性を保証し、人々の信頼を得て、規制当局の承認を得るためにも不可欠な要素です。人的ミスではない以上、AIの下した判断が事故につながっているため、それを明らかにするための「説明可能AI(XAI)」の技術発展は自動運転技術の向上には欠かせないでしょう。
繋がる車とインフラV2X技術
車と車、車とインフラが通信し合うV2X技術への期待が高まっています。日本の高速道路での優先レーンや、スマートシティとの連携など、インフラ協調の動きも出てきています。
V2X(Vehicle to Everything)は、車体をあらゆるものへ繋げるというもので、車体間では、速度や位置情報を共有することで追突事故の危険性を低減したり、インフラと繋がることで交通信号や道路状況を把握し渋滞を回避したりするだけでなく、自動運転に必要な情報を取得するのに不可欠となりつつあります。
ロボタクシーなどのフリート運用には、環境に良い電気自動車の利用が増えているため、充電や駐車インフラの整備も不可欠です。
自動運転、運転支援システムに関わる市場動向とビジネスモデルの現在
アメリカ、中国を中心にロボタクシーの競争激化!
ony.aiはトヨタと組み、2025~2026年に中国主要都市で1000台規模のロボタクシーを展開する計画を発表。一方、Baidu Apollo Goは国内でのサービス網を広げつつ、ドバイやアブダビなど中東市場への進出も果たしており、中国企業のグローバルな野心がうかがえます。
アメリカでも、複数都市での実証実験、実用化が進められており、Waymo社は、すでにアリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州サンフランシスコとロサンゼルス、テキサス州オースティンで、1,500台の自動運転車両を運用し、週に25万件以上の有料乗車回数を提供しています。さらに2026年にはジョージア州アトランタ、フロリダ州マイアミ、ワシントンDCでサービスを展開する予定としている。
しかし、Waymo社は2022年から2024年にかけて軽微な衝突事故が14件発生していることを受け、1212台をリコール。調査を現在も継続されていますが、ソフトウエアアップデートにより問題が解決され、週に25万件のサービスを提供していることをアピールしています。
自家用車への自動運転、運転支援システムへの搭載が加速
これまで自動運転はロボタクシーが主眼に置かれてきましたが、上記で述べた、自動運転技術のパイオニアWaymoと、自動車業界の巨人トヨタとの協業では、主に個人が所有する車向けの自動運転プラットフォーム開発の推進を目的としています。
これはWaymoにとって、これまでのロボタクシー事業だけでなく、個人利用の自動運転車開発をリードしてきたTeslaなどとの競争を明確に意識した動きと言えるでしょう。
物流革命が起こる!?自動運転トラックのサービス開始
米テキサス州で、Aurora Innovation社が運転席に誰も乗らない大型トラックによる商業貨物輸送を開始しました。これは米国初の試みであり、物流業界の効率化や人手不足解消に向けた大きな一歩です。2025年末までのさらなる拡大も視野に入れています。
自動運転・運転支援システムの課題
人間を超える安全性をどう証明できるか
稀にしか起こらない事故(エッジケース/ロングテール問題)への対応、AI自体の安全性と信頼性の確保、そしてシミュレーションと現実のギャップなど、課題は山積みです。また、稀にしか起こらないケースについては学習するための実データも限られているためデータの収集が難しいと考えられてきました。しかし合成データの活用により、自動運転特有のエッジケースのための学習が可能になっています。(詳しくはこちら)
開発・普及コストの壁
高価なセンサー、強力なコンピューター、そして長い開発期間。これらがコストを押し上げ、普及の妨げになっています。
自動車企業とソフトウエア企業との協業などで、量産効果やシェアリングモデルによるコスト削減が期待されますが、大規模な運用への道はまだ険しい状況です。AV2.0のような現実世界の動的な環境での意思決定を促進する包括的な車載インテリジェンスの搭載という新しいアプローチも、データや計算コストの課題を抱えています。
サイバー攻撃とプライバシー
V2Xのように自動車がネットワークに繋がることで、ハッキングのリスクが高まります。また、走行データや車内映像など、大量の個人情報が収集されるため、GDPR、CCPA、PIPLなどの様々な規制を遵守し、プライバシーを守る仕組みが不可欠です。位置情報や車載AIが学習した個人のデータなどのデータの所有権も複雑な問題です。
まとめ
今回は、2025年5月までの自動運転に関わる技術の最新動向について詳しく解説しました。
自動運転技術はセンサやAIの技術が発展を押し上げています。AIやAIに必要なモデル、データへの理解を深めることが重要です。
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